「わんぱくカップ」決勝リーグでも、主審を務める機会があった。

予選リーグでの審判は11-0という一方的な試合のジャッジだったが、
10小FC vs OP SC、
共に予選を一位で突破してきたチーム同士の対決で、内容の濃いゲームだった。

保護者も多く応援も熱かったが、その前の週にこなしていたためか、気持ちにはゆとりがあった。



この試合はうちのチームが戦うリーグ側から、それぞれ主審と予備審を出す。
僕は時間前に本部へ行くが、パートナーになる A FCの審判の方は来ない。
その直前にB SC と戦い決勝を逃しているから、子供たちのケアもあるのだろう。

僕が主審をしたいと言うと、好意的に譲ってくれた。




10小はこの日初戦なので、すね当てとツメを確認する。

コイントスもちゃんと行う。
僕のコインはJFAとかスポーツメーカーのものではなく、
サンフレッチェが優勝したときの記念コインだ。

「なんで、サンフレッチェなの?」
「広島サポなの?」

と子供たちが聞いてくる。そんなことも緊張を和らげてくれる。
選手入場の際のハンド with ハンドも同じような効果があるのだろうか。




前回からは「ゼスチャー」をしっかり学んでおいた。
やっぱりしっかりした方が、キビキビして見えると思ったのだ。

さらに、前回 ちひろ さんに頂いたアドバイスから、「争点に寄る」を意識してみる。



蒸し暑い中ではあったが、心にゆとりがあったためか、余裕を持ってジャッジが出来たと思う。


やはり「争点に寄る」は重要だった。
近くで見ているから、紛らわしいジャッジでも自信を持って示せるし、
選手たちもしっかりと従う。


ゴール前で選手同士が交錯し出たボール、
コーナーに向かう選手に笛を吹いてゴールキックだと告げる。
「え、(最後に触ったの)俺じゃないよ」と抗議してくるが、
こちらは自信満々、笑顔で首を振ってゴールキックを指し示すので、
選手も黙って従う。




それでも、自分的には反省材料もある。
オフサイドの判定に関してだ。

ゴールキックの場合はオフサイドは成立しないので、ボールがキックされてからその先の選手を追えばよいが、
キーパーがキャッチしたボールをパントした場合はオフサイドが成立する。

だいたいパントキックの場合、GKがキャッチしてから蹴りだすまでが速いので、自分がペナルティエリアに近く寄った場合の切り替えが忙しくなる。



ある瞬間、そういうパントキックの場合に、僕が蹴りだされたボールを目で追ってしまった。
その落下地点の敵陣に、攻撃側の選手が二人いるではないか。
しかもオフサイドラインの裏側に。


蹴りだされた瞬間に、彼らはどこにいたのだろうか。
自陣内なら問題なし、オフサイドラインにいたのなら、超えていたかどうか、
僕はそれを見ていなかったのだ。

三審制だとこういうケースでは副審が見てくれるが、一人審判だと自分が見ていなければならない。



結果的に攻撃側の大チャンスではあったがゴールにはならず、大事にはならなかった。

ベンチのコーチ陣からも観客からもオフサイドの「指摘」は無かった。
僕のようにボールを追っていたから見ていなかったのか、
あるいはオフサイドでは無かったのかもしれない。

だが、もしも得点になっていたら…。

オフサイドをコールしていないから、「オフサイドではない」とジャッジしたわけで、それをひっこめる気は皆無だが、
後味の悪いものになったに違いない。




そこだけ冷や汗ものではあったが、次はそこを意識してジャッジできるだろう。

次の審判試合が、またも楽しみになったのだった。