夜の帰り道にふと気が付いた。
何やら道の真ん中で謎の生物がハサミを振り上げて「シャー!」という感じでこちらを威嚇してくる。
暗い中に黒い生き物で、ハサミを振り上げ、尻尾も長い…
まさか、サソリ!?
日本には生息していないはず、
いや、誰かが捨てたのか!?
と思ってビビリながらも近づいたら、それはザリガニだった。
ここは近所の小川沿いの歩道だったのだ。
なんでこんなところに、と思いつつも、
人間に踏まれたらかわいそうなので、傘で突っついて小川へ戻す。
ザリガニ君は水中をすいーっと泳いで行った。
ん?何やら水が少ないような??
翌日の朝、同じ場所を通りかかる。
ああ、やはり水が流れていない。
流水停止しているのだ。
ここは江戸時代に掘られた用水路なのだが、高度成長期に埋め立てられてしまった。
その後、人工河川として蘇ったのだが、この部分の流水は下水処理場で高度処理された再生水を利用しているのだ。
なので自然の河川と違い流水を調整することができる。
水が氾濫しそうなほど雨が降った時などは、再生水の流量を減らしている。
今回流水を停止したのは、渇水の影響と思われる。
利根川水系では給水制限が開始されたようだ。
こういう人工河川に水を流すのは、そういった手前気が引けるというのだろうか。
が、河川から引いているのなら理解できるが、下水処理水なのだから人間が生活している以上必ず発生する水だ。
何も止めなくてもいいのでは、と思ってしまう。
人工的に造られた川とはいえ、今は魚も泳いでいる。
今はまだわずかに水が残っているが、この暑さですぐに乾いてしまうだろう。
きっと魚も死んでしまうに違いない。
川の生物には迷惑な話だ、きっと昨日のザリガニ君も…。
もうじき梅雨明けしそうだが、まだ梅雨ならばどっと雨を降らしてほしい。
子供たちの遊びの場で、ご年配の方の散歩コースであり憩いの場、
早く水が戻ることを祈るのだった。